こんにちは。
デジタルものづくり教室Little HOPPER(リトルホッパー)講師の任です。
リトルホッパーでは日々のインプットだけではなく、常に子ども達のアウトプットの場を大切にしております。
そんな中、今年も世界最大級の規模をほこるロボットコンテストMakeXの日本予選に出場してきました。
今年はなんと出場した3チームとも入賞、そしてそのうち1チームは優勝をするという快挙を果たしました。
今回のブログでは出場した3チームの紹介、そして大会の様子をレポート形式で紹介していきたいと思います。
ではでは、スタート!
まずはMakeXって何ですか?というお話です。
※以下はMakeX公式サイトからの抜粋となります。
a. MakeXの概要
MakeXは、青少年向けの国際的ロボットコンテストのプラットフォームです。
STEAM教育を念頭に置いた、ロボティクス・コンペティション、STEAMカーニバルなど、様々なイベントを通じて、次代を担う、青少年の『創造性』『シェアの精神』『コラボレーションの大切さ』を楽しみながら、身に着けてもらう事を目的としています。
MakeX国際大会の運営主体は、STEAM教育ソリューション・教材メーカーのMakeblock社と深センに拠点を置くMakeX Robotics Competition Committeeです。
その国際大会への出場権を競う各国・地域の大会の運営主体は、各国の有志の企業・団体が担っています。
b. 世界でのMakeX
2019年に行われたMakeX2019では、世界41か国・150以上の地域で大会が行われ、12,000以上のチームが参加しました。
2. MakeX Sparkとは
続いて今回開催されたMakeXのSpark部門についても簡単な説明を加えます。
※同じく以下はMakeX公式サイトからの抜粋となります。
a. MakeXの部門
MakeXでは、4歳~18歳までが参加できるように、競技レベルや年齢別に5部門が設置されています。
b. MakeX Sparkの概要
今回はMakeXのSpark部門が開催されました。
Spark部門は、テーマに沿った『創造的な作品づくり』と『チームでのコンセプト発表』を行い、審査の得点を競う、STEAM教育をコンテストです。2020年のテーマは「Future Home」です。以下の動画は、競技の説明動画となります。
※国際大会用の競技説明で、各国の大会に合わせ運営者によって多少、競技運用・ルールのカスタマイズが行われます。
Spark部門は、作品制作に利用する教材・ロボットキットに制限が無いという事が最も大きな特徴です。
c. MakeX Spark2020のテーマと課題
以下が今回のテーマと課題になりました!
MakeX Spark2020 東京大会のテーマは、「Future Home」です。
近い将来、AIは私たちの生活に変化をもたらします。皆さんが大人になった時、AIはどのように生活に溶け込んでいるでしょうか?
皆さんが考える、今よりも快適で、便利で、楽しいFuture Homeとはどのようなものでしょうか?
まずは、現在の生活について、より細かい項目(家族・家具・建物・家の環境 等)に分けて、現在ある問題提議をし、より良くするための改善方法を考え、プログラミングや様々な材料を使って表現してください。
3. リトルホッパーからの出場チームと作品紹介
MakeXについてご理解して頂けましたか^ ^?
ここではリトルホッパーを代表して大会に参加した3チームとその作品を紹介していきます。
どのチームにも制作過程のストーリーがありユニークな作品となりました!
a. Hyper Hopper
■作品名
SFタウン
■使用ツール
Fuison360(CADソフト)
3Dプリンター(MakerBot)
mCore(マイコン)
mBlock5(プログラミングツール)
■作品コンセプト
怪獣たちと共生する地球にやさしいEcoな街
■作品の特徴
SFタウンは地球温暖化を防止するミッションを担っています。
街で使う電力は基本的に太陽光発電ですが、まかなえない部分は街の中央にある発電所により発電を行います。
発電所では発電量と送電量は10段階に自動調整され、太陽光発電が可能な昼間は発電と送電は少なく、夜間は多く行われます。
また、共生している怪獣たちは各々に役割があり、人間達のEcoな生活にはなくてはならない存在です。
Hyper Hopperは中学1年生コンビのチームです。
実は去年Super Hopperというチーム名でMakeX2019に出場し、準優勝をしたつわもの達です!
チームの特徴としては、ずば抜けた発想力を持ったメンバーと堅実な作業が得意なメンバーによるコンビネーションです。
作品制作中は意見が合わなくて「うーーー」っとなっていた場面もありましたが、2人の個性が交わったときにとてつもない化学反応が起きます。
そんな2人が手掛けた『Future Home』はSFタウン。
怪獣と人間が共生するEcoな街です。
発想力に先ずは驚かされますが、それを表現するエンジニアリング/プログラミング能力がまた凄いですね(*´Д`)!
b. Mermaid
■作品名
マーメイドの家
■使用ツール
TinkerCAD(CADソフト)
3Dプリンター(MakerBot)
mCore(マイコン)
mBlock5(プログラミングツール)
■作品コンセプト
たくさんのロボットと住むイベントを一緒に楽しんでくれる家
■作品の特徴
マーメイドの家は色々なロボットが生活の一部に溶け込んでいる次世代の家です。
ロボットにはそれぞれの役割があり(ex. お手伝いロボ、オシャレロボ、子守りロボ...etc.)人間の生活を助けてくれます。
そして、最大の特徴は季節のイベントや誕生日を一緒に祝ってくれます!
mCoreに接続されたPCのAIプログラムを起動させると今日の日付を聞かれます。ハロウィンやクリスマス、誕生日などを打ち込めばパーティの始まりです!
プログラミングの複雑さも凄いですが、こんな家があったら素敵ではないでしょうか!?
Mermaidは小学生3年生の女の子1人のチームです。
このチームの特徴はとにかくロボットが好き!
スクールに入った時から一貫して言っていましたね^ ^!
そんなMermaidが手掛けたのがマーメイドの家。
ロボット好きだからこそ仕上がった作品ですね。
発想力も凄いですが、注目すべきはそのプログラミング能力と3Dモデリング能力です!
1人のチームにも関わらずもくもくとプログラミングとモデリングを進めていきました。
まだまだ小学校3年生。
将来が楽しみなエンジニアです!
c. スプート3
■作品名
セキュリティーハウス
■使用ツール
TinkerCAD(CADソフト)
3Dプリンター
mCore(マイコン)
Halocode(マイコン, ワンボードPC)
mBlock5(プログラミングツール)
■作品コンセプト
テクノロジーとファンタジーが融合した安全性の高い未来の家
■作品の特徴
セキュリティーハウスの特徴はテクノロジーとそれが解決したい課題がとても現実的なことです。
まず、家のセキュリティー対策はいつの時代も必須の課題ですよね。
そしてそのニーズに応えるべくスマートロックなどのテクノロジーは現在進行形で開発さています。
この家はHalocodeという小型のWiFi内蔵の小型シングルボードコンピューターをPCに接続し、PCを経由してmCoreを制御しサーボモータを駆動させるというシステムを取り入れていますが、スマートロックそのものです。
そしてこの作品が面白いのがファンタジーとの融合です。
作品にはトトロ警護団が登場し、セキュリティーを解除できなかった住民は刑務所(裁判はありません)に送られるそうです、、笑
スプート3は小学校4年生のお兄ちゃんと小学校2年生の妹さんとの元気な兄弟チームです。
お兄ちゃんがプログラミングとモデリング、妹さんがトトロ警護団の指揮と装飾を担当しており、役割分担がしっかりとしています。
この2人はとにかく元気で楽しそうです^^!
何事も楽しいのが一番ですよね。
今回の作品もお互いの得意分野を出し合って楽しみながら仕上げた素晴らしいものになりました!
それにしても小学校4年生でスマートロックのシステムを開発したお兄ちゃんには脱帽です!
こちらも将来がとても楽しみなエンジニアの1人です(*´Д`)!
4. 大会レポート
リトルホッパーの子ども達の作品はどうでしたか^ ^?
さぁ、ここからはいよいよ大会についてレポートしていきますね!
2020年9月20日にMakeX2020東京大会がアオバジャパン・インターナショナルスクール(光が丘キャンパス)で行われました。
当日私はHyper Hopperの子ども達と車で向かったのですが、子ども達は全然緊張することなく車の中では一緒にマイクラを楽しんでいました。
現地到着!
9時集合でしたが8時についてしまいました。
ごめんね、子ども達、、笑
現地では検温を終わらせブースのセッティングを行います。
今回の大会はパネルディスカッション形式です。
6名の審査員が2名ずつブースを回り、その審査員に自分たちの作品についてプレゼン/デモを行い、質疑応答に進みます。
審査はお昼過ぎに行われる予定で、それまでは時間が空くので他の参加チームの作品を見て回ります。
今回の参加チームはリトルホッパーの3チームを合わせて18チーム。
皆さんユニークな作品を準備してきていました。
見て回った印象としては皆さんポスターやパネルにすごく力を入れていましたね。
リトルホッパーの参加チームにはお話をしていますが、ポスターやパネルは自分達のためにも役に立ちます。
プレゼンで言いたい事がとんでしまったときポスターやパネルを見れば思い出せます。だからポスターやパネルは言葉を発さないプレゼンターの様なものなんですよね!
リトルホッパーのチームは少しシンプル過ぎたかな、、
まぁープレゼンに自信があるということでしょう!笑
そして、いよいよ審査員たちへのプレゼンとデモが始まりました!
みんな緊張しながらもとても上手にプレゼン出来ていたと思います。
そしてどのチームもプレゼンをこなせばこなすほど滑らかに喋れていた印象です。
やはりプレゼンは場数ですね!
そして何より重要なのは自信を持って自分自身も楽しむことだと思います。
審査員とのコミュニケーションを楽しむ、フィードバックを楽しむ。
自分の楽しさが伝われば審査員も楽しめ、結果良い審査につながると思います!
さぁ、自信たっぷりのプレゼンと自慢の作品。笑
結果はいかに!?
5. 結果発表
いよいよ結果発表です。
今回は各審査員と大会に参加した参加者による総合評価で以下の7つの賞が授与されました。
まずは、各賞と選考の観点を見てみましょう。
※以下はMakeX公式サイトからの抜粋となります。
■ベスト・クリエイティビティ賞
最も独創的なアイデアを提示し、革新的な問題解決を発表したチーム。
競技の中で独自の創造力を発揮したチーム。
■ベスト・デモンストレーション賞
多様で斬新な内容を発表したチーム。
機能がスムーズで、洗練された工夫が認められたチーム。
■ヤングエンジニア賞
安定した構造を持ち、機械的な技術やプログラミング技術を駆使して動作する作品を制作したチーム。
未来のエンジニアの可能性を表現したチーム。
■ヤングデザイナー賞
デザインが魅力的で、装飾などが芸術的で鮮やかな作品を制作したチーム。
未来のデザイナーの可能性を表現したチーム。
■シェアリング賞
作品のデモンストレーション中に多くの票を獲得し、メンバー以外のユーザーからアドバイスを受け、より多くの情報を共有できたチーム。
■チームワーク賞
仕事の役割が明確で、チームの文化が表現できたチーム。
選手が、チームに対する責任と信頼を持っているチーム。
■スピリット賞
前向きな姿勢を持ち、他者の意見を柔軟に受け止め、良い規律を示すことができたチーム。
選手は、他のメンバーを助けようとする姿勢があり、積極的に仲間と情報を共有することができたチーム。
ドラムロール!
ガラガラガラガラガーン♪
シェアリング賞はHyper Hopper!
ヤングエンジニア賞はMermaid!
そして、ベスト・クリエイティビティ賞(優勝)はスプート3!
なんとリトルホッパーの3チームすべてが表彰されました!
素晴らしい!
メンターの私も誇らしげです(*´з`)!
やはりリトルホッパーの子ども達のポテンシャルは凄いです。
今後の成長が楽しみです!
6. MakeX2021世界大会出場について
見事優勝(ベスト・クリエイティビティ賞)をしたスプート3は2021年中国の深セン/広州で開催される『MakeX2019 World Championship』への出場権が与えられます。
おめでとうございます!
まだ1年ありますが、スキルアップしてチャレンジしていきましょう!
私も来年の楽しみが1つ増えました(*´Д`)!
※『MakeX2019 World Championship』の詳細は、MakeXのホームページ(http://makex.io/en)を参照ください。
7. 大会を終えて
今回の大会はロボットで競技する"いわゆるロボコン"ではなくテーマに沿った作品を自分たちで考え創り上げるという私にとっても初めての試みでした。
大会に出場した子ども達は作品の自由度の高さから最初は頭を悩ませていましたが、ほんの少しヒントを与えると水を得た魚の様に集中して制作を始めました。
プログラミング/モデリングのスキルはもちろんですが、何より子ども達の発想力に驚かされます。
大人であればがんじがらめのバイアスで諦めてしまうようなアイデアでも子ども達は諦めません。
イノベーターが不足していると言われる日本ですが、この様なバイアスのない発想ができ、実現できる人材が今後ますます求められるのではないでしょうか?
そんな人材を育てたいと再度私に認識させてくれた大会でした。
そして私自身たくさんの学びがあった大会でした。
みんな本当に有難う!
PS.
Little HOPPER(リトルホッパー)は、プログラミングを使って、子ども達の『創りたい』を叶える基地です。
3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル加工機も駆使して、最新のテクノロジーに触れられる『デジタルものづくり教室』を運営しています。
ご興味があれば遊びに来てくださいね^ ^!